1960年代のアメリカで化学者としての成功を目指した女性の孤独な闘いをユーモアも交えて描く小説"Lessons in Chemistry"

サンディエゴからこんにちは!
英語コーチ しおはまなおこです。
生きた英語が学べる「映画/ドラマ/洋書」を活用して、英語を楽しく習慣にするヒントをお伝えしています♪
今回は、久しぶりに洋書をとりあげます。
最近読んで、心の底から感動した洋書”Lessons in Chemistry"。1960年代のアメリカ(カリフォルニア南部)で化学者を目指した女性エリザベスの孤独な闘いをユーモアも交えて描いた小説です。
【あらすじ】
舞台は1950〜60年代の南カリフォルニア。宗教詐欺師の両親に育てられたエリザベスは、学校にはまったく行かせてもらえませんでした。兄と一緒に図書館ですべてを学んだため、友達はいません。心の拠り所であった兄を自殺で失ったエリザベスの夢は、化学者として名を成すこと。しかし博士課程を終える前に指導教授からレイプされます。明らかに加害者だけど有名な教授を守る方針の大学によって、エリザベスは学問の場を追い出されてしまいます。
ヘイスティングス研究所に就職はしたものの、女性であることと博士号を取っていないことを理由に、仕事の成果を男性の同僚や上司に盗まれ続けます。そんな中、エリザベスが研究所で出会ったのは、将来のノーベル賞受賞者とみなされている天才的な化学者のキャルビン。周りからは変人で人嫌いだとみなされている2人は恋に落ちます。化学者として自分の力で偉業を成し遂げたいエリザベスはキャルビンを心から愛しているものの、彼の求婚を断ります。キャルビンはエリザベスの気持ちを尊重して結婚はあきらめ、陰ながら支える形を選びます。
悲劇的な事故が起こり、エリザベスは愛するキャルビンと仕事を失い、シングルマザーとして生きることになります。どん底の状況を救ったのは、おせっかいな隣家の主婦と、偶然に得たテレビの料理番組の仕事でした。プロデューサーの指示と命令を無視して、化学者として料理の説明をするエリザベスの番組は大人気になります。しかし、それと同時にエリザベスはだんだんウツになっていく…というストーリー。
女性は妊娠したら仕事をやめるのが当たり前。未婚の母?とんでもない!という時代に、信念を曲げずに自分の道を突き進むエリザベスの姿は感動モノ。泣き止まない赤ん坊の世話の場面では、自分も長女出産後に半狂乱になっていたので共感しきりでした。
【場面の紹介】
主人公のエリザベスは、未婚の母として娘を出産。エリザベスが妊娠中、頼みもしないお節介なアドバイス(unsolicited advice)を聞かされるシーンが非常におもしろかったです。
スーパーのレジ待ちの列で、子育ての大変さを一方的にまくしたてる女性の様子を紹介しますね。
------
Then she launched into a dramatic description of the terrible twos, the tiresome threes, the filthy fours, and the fearsome fives, barely taking a breath before piling into the angsty adolescents, the pimply pubescents, and especially, especially, oh lord, the troubled teens, noting always that boys were harder than girls, or girls were harder than boys, and on and on and on...
Garmus, Bonnie. Lessons in Chemistry (p. 126). Knopf Doubleday Publishing Group. Kindle Edition.
その女性は、芝居がかった口調で子どもたちを表現した:言うことをきかない2歳、相手をするのが疲れる3歳、何でも汚す4歳、おそろしい5歳。それから息もつかずに、大人になっても不安だらけ、思春期はニキビだらけ。そしてなんといってもティーンエイジャーには手を焼くわ、と話し続ける。そして男の子は女の子より育てるのが大変よ、とか、女の子のほうが男の子より手がかかる、など、どこまでも続く。
------
「the terrible twos」という表現は有名なので知っていましたが、まさかこんなにたくさん出てくるとは!私なりの翻訳をつけて紹介しますね。
- the terrible two (言うことをきかない2歳)
- the tiresome threes(相手をするのが疲れる3歳)
- the filthy fours(何でも汚す4歳)
- the fearsome fives(おそろしい5歳)
- the pimply pubescents(ニキビだらけの思春期)
- the troubled teens(トラブルだらけのティーン)
- the angsty adolescents(不安だらけの若者)
すべて韻をふんでいます。
The terrible two以外の表現は、決まったものではないみたい。下のような表現も見つけました。
- Terrible Threes, Troublesome Threes, Treacherous Threes, or the ever-popular Threenager.
- Ferocious Fours, Effing Fours, F-You Fours
- Fantastic Fives, Finally Fives
- Snarky Sixes, Sassy Sixes
こういうカラフルなボキャブラリーが増えるから洋書はやめられません。特に今回とりあげた性格や特徴を表す形容詞は、ふだんの生活でよく使うので覚えておきましょう。家族や身近な人の性格を形容詞で表現してみるのも、いい練習になりますよ!
いつもは朝食の準備をして食べ終わるまでの毎朝30分ほど聴くオーディオブックですが、この本に関してはもうずっと聴いていたくて、1時間以上聴きました。
オーディオブックの特別付録として、作者インタビューがついています。その中で映画化決定の話が出てきたんですよ!エリザベス役は映画「ルーム」でアカデミー主演女優賞をとった女優ブリー・ラーソン。原作を脚色するのは「エリン・ブロコビッチ」の脚本を手がけたスザンナ・グラント。うぅ〜、なんだか今からとっても楽しみ!
聴き終えたんだけど、もう一度この本の世界に浸りたくて、今もう一度聴いています。そんな気持ちにさせる素晴らしい洋書なので、あなたもぜひチャンスがあったら読んでみてくださいね。
【英語ワンポイントレッスン】
韻を踏んでいるところに注目!
- the terrible two (言うことをきかない2歳)
- the tiresome threes(相手をするのが疲れる3歳)
- the filthy fours(何でも汚す4歳)
- the fearsome fives(おそろしい5歳)
- the pimply pubescents(ニキビだらけの思春期)
- the troubled teens(トラブルだらけのティーン)
- the angsty adolescents(不安だらけの若者)
最後までお読みくださり
ありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに!
Naoko Shiohama
//////////////////////////////////////////
人生は楽しんだものがち!
英語も楽しく習慣にしましょう♪
//////////////////////////////////////////
P.S.「女性はこうあるべき」という型に縛られていた時代に、エリザベスが料理番組の視聴者に語りかける場面が感動的なんです!本の41章を読むときは涙をふくハンカチかティッシュを用意してくださいね。
【関連のブログ記事リンク】