🖤白人になりすまして生きた黒人女性の物語🎬映画「Passing ー白い黒人ー」

サンディエゴからこんにちは!
映画と英語が大好きな英語コーチ
しおはまなおこです。
今回ご紹介するのは、ネットフリックスの映画「Passing ー白い黒人ー」です。
【作品情報】
作品名:Passing ー白い黒人ー(原題:passing)
2021年、99分
監督・脚本:レベッカ・ホール
出演:テッサ・トンプソン、ルース・ネッガ
原作本:ネラ・ラーセンの小説「白い黒人」(1929)
【あらすじ】
舞台は1920年代のNY。高校の同級生だったアイリーンとクレアは黒人が入店を拒否されるような高級ホテルのカフェで偶然再会します。肌が白いクレアは髪をブロンドに染めて白人を装い、人種差別主義者の白人男性と結婚。一方のアイリーンは、医者である黒人の夫と息子2人と、黒人が多く住むハーレムで実直に暮らしていますが、クレアとの再会で少しずつ生活が変わっていく…という話。
【“passing”という言葉の意味】
この映画のタイトル“passing”という言葉の意味がすぐにわかる人は少ないでしょう。私も知りませんでした。
この映画では「黒人だけど肌が白いために白人になりすまして生きている人」という意味なのです。私が調べた限りでは、この定義は辞書に載っていません。この映画を見なければ、私も意味を知らないままだったでしょう。1920年代ですから、人種差別と社会的な時代背景の要素が絡み合っています。
実は長女が通う高校のBell Scheduleを見て「ここでも“passing”が使われている!」とハッとしました。
休み時間(break or recess)ほど長くなくて、教室を移動するだけの短い時間なので“passing”と呼んでいるそうです(長女談)。
ふだんの生活でよく耳にする passing は:
- 追い越しレーン:passing lane
- 合格点:passing grade
- 亡くなること(deathの婉曲表現):I’m so sorry to hear about your mother’s passing.(お母様のご逝去、お気の毒に思います)
などがあります。
知らなかったことを知るのは楽しいですよね。以前ご紹介した「仕事と人生に効く 教養としての映画」にこういう一節がありました。
すぐれた映画とか、すぐれた文学とか、すぐれた芝居とかというのを観るのは、つまり自分が知らない人生というものをいくつも見るということだ。もっと違った、もっと多くのさまざまな人生を知りたい… そういう本能的な欲求が人間にはある。
まったく同感です。映画を通して、知らなかったことや知らなかった人生を知り、英語という言葉の深さも味わっていきましょう。
今回の“passing”のように、定義が辞書に載っていない言葉もあります。はじめて出会う言葉の意味を、映画のストーリーと一緒に覚えると忘れません。
【ここも見どころ】
イギリス人女優レベッカ・ホールの監督デビュー作品です。彼女の父親はイギリス人、母親はアメリカ人。実は母の父親(レベッカにとっての祖父)にはアフリカ系とネイティブアメリカン系の血が流れていたけれども、ずっと白人のフリをして生きてきたことを知り、絶対にこのテーマの映画を監督したいと思っていたそうです。
映画全編がモノトーンのため、肌の色の違いは微妙な白黒の濃淡で表現されています。見終わったあとも、映画の余韻にひたってしまう…そんな作品でした。オススメです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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人生は楽しんだものがち!
英語も楽しく習慣にしましょう♪
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P.S.この映画を見て、私は「白いカラス」(原題:Human Stain)という同じテーマの映画を思い出しました。黒人として生まれたけれども白人として通用する肌の色だったために白人のフリをし続けた大学教授の話です。アンソニー・ホプキンスとニコール・キッドマンが共演。
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