心の傷がゆっくり癒やされていく感動作「この森で、天使はバスを降りた」

サンディエゴからこんにちは!
英語コーチ しおはまなおこです。
生きた英語が学べる「映画/ドラマ/洋書」を活用して、英語を楽しく学び続けるヒントをお伝えしています♪
今回とりあげる映画は、あまり知られていない隠れた名作「この森で、天使はバスを降りた」。
カチンとくることを言われたときにピシャリと言い返せるようになりたい、と常々わたしは思っています。そんなときのお手本になりそうなセリフをご紹介します。
【作品情報】
作品名:「この森で、天使はバスを降りた」(The Spitfire Grill)
1996年、117分
ジャンル:ヒューマンドラマ、家族、女性の生き方
監督:リー・デイビッド・ゾロホフ
主演:アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マーシャ・ゲイ・ハーデン
受賞歴:サンダンス映画祭観客賞を受賞
【あらすじ】
5年の刑期を終えてメイン州の女子刑務所から出所したパーシーは、小さな田舎町ギリアドでバスを降ります。保安事務所で食堂の仕事を紹介してもらい、住み込みで働くことに。食堂の女主人ハナは高齢で腰も悪いため、一人で店を切り盛りするのは厳しくなっていました。前科があるパーシーに対して、ハナも最初は警戒して歓迎はしませんが、少しずつ心を許すようになります。ハナが店を売りたがっていることを知り、作文コンテストを提案するパーシー。これをきっかけに、よそ者を受けつけない排他的な住民たちも少しずつパーシーを受け入れ始めます。しかし、ある誤解をきっかけに取り返しのつかない悲劇が起きてしまって…
【場面の説明】
女主人ハナには一人息子イーライがいますが、ベトナム戦争に出征して以来、行方不明になっています。ハナが腰をひどく痛めたとき、パーシーのこと信用していない甥のネイハムは「妻のシェルビーに店を手伝わせる」と提案します。
介護が必要な老人扱いされてムッとするハナ。年はとってるけど自分のことはちゃんとできるよ、と言い返す場面です。
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ハナ:I'm going to need someone around here until I'm back on my feet.
あたしが元気になるまでの助っ人が必要なだけだよ。
ネイハム:Shelby can look after the Grill.
シェルビーが手伝えるよ。
ハナ:Shelby! You're always carping on how numb she is, so Shelby'll just cure everything. I'm sure.
シェルビーが鈍いことをいつも文句を言ってるのはあんたじゃないの。そうね、シェルビーなら全部やってくれるでしょうよ(←これ皮肉です)。
ネイハム:Ever since Eli… I'm responsible for you now, Hannah.
イーライがいないから、叔母さんの面倒はボクが見るつもりだ。
ハナ:Well, that's queer 'cause I don't recall asking you or anyone else to take over my life for me. So until I forget my name or start drooling at the mouth. I'll thank you to allow me to make my own decisions.
そいつはおかしいね。あたしゃ誰にも面倒をみてくれなんて頼んだ覚えないからさ。あたしが自分の名前を忘れたり、よだれを垂らしっぱなしになるまでは、自分のことは自分で決めさせてもらうよ。
【英語ワンポイントレッスン】
You're always carping on how numb she is.
シェルビーが鈍いことを
いつも文句を言ってるのはあんたじゃないの。
【解説】
carp は名詞で「鯉」。広島カープの「カープ」ですね。でもここでは動詞として使っています。
carp(動詞):人や物事について不平を言う、あら捜しをする
進行形で使うことが多いです。どうでもいい細かいことに関してつべこべ文句言う、というニュアンスがあります。
Merriam-Webster dictionaryで引いてみると:
- to find fault or complain querulously
- to express dissatisfaction, pain, or resentment usually tiresomely
意味調べのとき、英和辞典だけでなく英英辞典も使ってみてくださいね。
【最後に】
何度も観ている映画なのに、carp という動詞に気づいたのは今回が初めて。なんとなく意味がわかっちゃうからスルーしてたんですね。carpは動詞としても使われることがわかって勉強になりました。
そして、私もこのさき何もできない老人扱いされたら、こんなふうに英語で言えばいいのね!と思いました。シェルビーは、いつも夫のネイハムから「お前は能力なしだ、何の役にも立たない」と言われ続けていましたが、パーシーとの出会いで強い女性に変わっていきます。
パーシーには誰にも言えない暗い過去があり、ネイティブアメリカンの伝説で最も美しい土地と崇めされていたギリアドで人生をやり直したいと思っていました。心に深い傷を負っているパーシーによって、周りの人々の心の傷がゆっくり癒やされていくさまがジーンと心に響く映画です。
【英語ワンポイントレッスン】
You're always carping on how numb she is.
シェルビーが鈍いことを
いつも文句を言ってるのはあんたじゃないの。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに♪
Naoko Shiohama
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人生は楽しんだものがち!
英語も楽しく習慣にしましょう♪
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P.S.この映画は元旦の夜に観ました。観るたびに号泣してしまうので、翌日何も予定がないときに観ることにしています。あなたにもそんな映画がありますか?