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日本で知られていないアメリカの有名人

October 01, 20238 min read

サンディエゴからこんにちは!

元字幕翻訳家の英語コーチ しおはまなおこです。 

 

映画・ドラマ・洋書を通じて、英語を楽しく味わうヒントをお伝えしています♪

今回は日本では知られていないけどアメリカではよく知られている有名人についてのお話です。


アレクサンダー・ハミルトンを知っていますか?


「ショーシャンクの空に」(1994)という映画をご存知でしょうか?スティーブン・キングの短編小説が原作です。

Shawshank Redemption

無実の罪でショーシャンク刑務所に収監されたエリート銀行マンが、どんな逆境の中でも心の豊かさと希望を失わず、必死に生きる姿を描いたヒューマンドラマの名作。主演はティム・ロビンスとモーガン・フリーマン。フランク・ダラボン監督の出世作です。


私は感動した映画に原作本があったら読むことにしているので、この短編小説も読みました。短編のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワース」Rita Hayworth and Shawshank Redemption)は、1982年に出版されたスティーブン・キングの中編小説。「恐怖の四季」(Different Seasons)に春の物語として収められています。

Different Seasons


その中にこういう文章がでてきたんです。


He didn't speak or even look my way, but pressed a picture of the Honorable Alexander Hamilton into my hand.

彼は何も言わず、こっちを見もせずに、アレキサンダー・ハミルトンの顔を俺の手に押しつけてきた。

アレキサンダー・ハミルトンの顔を押し付けるって、どういう意味?と思いますよね。


これね、10ドル札という意味なんです。


日本では知られていないけど、アメリカで生まれ育った人なら誰もが知っている著名人。アメリカ建国の父の一人で独立戦争時にはジョージ・ワシントンの右腕として活躍した人物です。うちの娘たちも歴史の授業で習いました。


ブロードウェイ・ミュージカルの「ハミルトン」が社会現象になるほど大ヒットして、私も「ハミルトン」ってどんなミュージカルなんだろう?と思って調べたんですよね。カリブ海の小さな島からの移民が、アメリカ建国の父となるサクセスストーリーであることをそのときに知りました。でも10ドル札の顔ということは、ショーシャンクの原作本で初めて知りました。いやー、知らないことばっかりですよ!


逆もしかりで、織田信長や徳川家康は、日本で育った人なら知っているけど、他の国の人は聞いたことがないかもしれません。


例えば「福沢諭吉を2枚出した」という文章があったとします。日本で生活していたら「あ、2万円ね」と、すぐに分かりますよね。


でも「福沢諭吉の顔が1万円札にかいてある」と知らない人にはチンプンカンプン。2021年から渋沢栄一にかわったようですが、私の中ではいまだに1万円札は諭吉です。

参考までに、アメリカの紙幣の顔を列記します。

  • 1ドル札:ジョージ・ワシントン、

  • 2ドル札:トーマス・ジェファーソン、

  • 5ドル札:エイブラハム・リンカーン、

  • 10ドル札:アレクサンダー・ハミルトン、

  • 20ドル札:アンドリュー・ジャクソン、

  • 50ドル札:ユリシーズ・S・グラント、

  • 100ドル札:ベンジャミン・フランクリン


エチケットとマナーの代名詞:エミリー・ポスト



あなたは「エミリー・ポスト」という名前を聞いたことがありますか?アメリカではエチケットとマナーの代名詞なんです。

アメリカで、聖書の次に売れた本と言われるのがエミリー・ポストの「エチケット」。1922年に出版されてから90年以上も読まれ続けているマナー本のバイブルです。


Emily Post


1960年代のNY、広告代理店を舞台にしたテレビドラマ「マッドメン」にもエミリー・ポストの名前が出てきました。シーズン3の第3話です。


夫婦が、ディナーパーティーの準備をしています。どこにだれが座るか、という問題で夫が妻に文句を言います。でも妻は「エミリー・ポストがそう言ってるのよ」と言いはります。


「エミリー・ポストが言ってるんだから、間違いないの」というニュアンスでいかにエミリー・ポストがマナーやエチケットの基準となっているかがわかります。


エミリー・ポストは、実はアメリカのキャリアウーマンの草分け的存在です。31歳で作家活動をスタート。アメリカやヨーロッパの人気雑誌での連載が話題となり、ラジオ番組のパーソナリティーもつとめて大人気を博します。


新聞に連載したマナーに関するお悩み相談コラムも大人気で、週に5000通以上もの悩みが寄せられたそうです。


映画・ドラマ・洋書の中で、文脈に関係なく突然ある人の名前がでてきたときは、たいてい何かを象徴しています。「へぇ〜、この人はこんなことで有名なのか!」と雑学が増えるのも楽しいですよね。



映画やドラマを見ながら、洋書を読みながら、あなたが吸収しているのは英語という言語だけでなくその作品が描き出す世界全体です。


何かの代名詞となるような著名人の知識を増やしていくと英語の世界をさらに深く理解できますよ。


あなたの当たり前は他人にとっては当たり前ではない


アインシュタインはこう言いました。

einstein


常識とは 18 歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない。

Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. 



日本を飛び出すと、いかに自分の当たり前が、他の人には当たり前ではないか、ということを痛感します。


私がサンディエゴに移住した2009年はイチロー選手がメジャーリーグで大活躍している時期で、アメリカ人も知っていると思い込んでいました。当時一番仲がよかったママ友に、イチローって知ってるよね?と聞いたら、だれそれ?という反応。野球に興味がない人だったからでしょうが、それにしても私はショックでした。自分の基準だけでものさしをはかっちゃいけないな、と実感した出来事でした。


今回はアメリカでは有名だけど日本で知られていないアレクサンダー・ハミルトンとエミリー・ポストをご紹介しました。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

次回もどうぞお楽しみに!

 

Naoko Shiohama

 

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人生は楽しんだものがち!

英語も楽しく習慣にしましょう♪

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有名人ハミルトンエミリーポスト常識異文化
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Naoko Shiohama

脳科学Englishトレーナー。TESOLの資格を持つ英語を教えるプロ。2009年からサンディエゴ在住。アメリカ生活の経験と知恵+脳の仕組みを活用した記憶術+映画とTVドラマへの情熱をオンラインコースに注ぎ込んでいます。慶應大学文学部卒(英米文学専攻)。元字幕翻訳家。

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