サンディエゴからこんにちは!
元字幕翻訳家の英語コーチ しおはまなおこです。
映画・ドラマ・洋書を通じて、英語を楽しく味わうヒントをお伝えしています♪
今回は、Apple TVの映画「Coda コーダ あいのうた」からのセリフをご紹介します。
©Apple TV
映画のタイトルとなっている「CODA」は、Children of Deaf Adults(耳の聴こえない親を持つ子ども)の略。主人公のルビーは、家族の中でだた一人耳が聴こえる高校生。お父さん、お母さん、兄のレオは3人とも耳が聴こえないので、必要なときはいつもルビーが手話でやりとりをします。
ルビーは毎朝3時に起きて、学校に行く前に家族が所有する漁船で働くという生活を送っています。授業で爆睡することもしょっちゅう。着替える時間がなかったときは、まわりから「魚くさい」と言われたりします。
そんなルビーですが、自分の歌の才能に気づいて名門音楽学校への進学を考え始めます。でも、自分がいなくなってしまったら家族はどうなる?という不安もあり、夢と義務感との間で葛藤します。
音楽学校への進学はあきらめて家族の漁船業を手伝うと決めたルビーに、お母さんが話をするシーンを紹介します(すべて手話)。
©Apple TV
お母さん: I’m really glad you’re staying.(残ってくれるの、すごくうれしいわ)
ルビー: Leo isn’t.(お兄ちゃんは、うれしくないみたい)
お母さん: It’s complicated. He feels… left out. (きっと除けものにされた気がしてるのよ)
ルビー: That’s crazy. It’s always the three of you and then me.(そんなのおかしいわ。いつもママ、パパ、お兄ちゃんの3人が先にきて、除けものは私よ)
お母さん: I get it.(あなたがそう思うのも仕方ないわ)
ルビー: Do you ever wish I was deaf?(私の耳が聴こえなければよかったと思ったことある?)
お母さん: When you were born, at the hospital, they gave you a hearing test.(あなたが生まれたとき、病院で聴覚検査をしたの)
And there you were, so tiny and sweet, with these electrodes all over you.(ちっちゃな赤ちゃんのあなたに、たくさんの電極線をつけてね)
And I… prayed that you would be deaf. (たしかに、あなたも耳が聴こえなければいい、と思ったわ)
When they told us that you were hearing, I felt… My heart sank.(あなたの耳は聴こえる、と言われたときはがっかりした)
ルビー: Why?(どうして?)
お母さん: I was worried that we wouldn’t connect. Like me and my mom, we’re not close.(わかりあえないと思ったの。ほら、私と[私の]母さんみたいに距離ができちゃうと思った)
I thought I would fail you. That being deaf would make me a bad mom. (私は耳が聴こえないから母親として失格だと思ったのね)
ルビー: Don’t worry. You are a bad mom for so many other reasons.(心配しないで。母親失格の理由は他にもいっぱいあるから!)
お母さん: I know I drive you crazy with the clothes, the makeup.(わかってるわよ、私の服装とか化粧がきらいだってこと)
But honestly, I’m happy that you know who you are.(でもね、あなたは自分のことをよくわかってる。それがうれしいの)
ユーモアを交えながらも、ものすごく正直に気持ちを伝えあっていますよね。特に最後のセリフで、私は涙がこぼれました。
というのも、ここ半年ほど、私と13歳の次女との関係がこじれているからです。家族に対して心を閉ざしている彼女には、今のところ「話したければいつでも話をきくよ」というスタンスで接するしかありません。
仲間はずれ、いじめ、無視、など、いろいろあるのが中学高校時代。たしかに私も親には何も言いませんでした。「大人はわかってくれない」という気持ち、よく分かります。
でもいざ親になってみると「言ってくれなきゃわからない!」となるわけです。
ときにはケンカになるし、イライラするし、髪の毛をかきむしりたくなるくらい頭にくることもあります。でも、こういう経験をしているからこそ、映画やドラマでの母と娘のやりとりに敏感になれるのかもしれません。自分が直面している問題、頭から離れない悩みのツボを突いてくれるセリフに反応してしまうのが人間なのでしょう。
いつか私も次女に
I’m happy that you know who you are.
と言える日がくるといいな、と思ってます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに!
Naoko Shiohama
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人生は楽しんだものがち!
英語も楽しく習慣にしましょう♪
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©2024 Naoko Shiohama