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Netflix「クイーンズ・ギャンビット」で学ぶなぐさめの英語表現

September 22, 20239 min read

サンディエゴからこんにちは!

元字幕翻訳家の英語コーチ しおはまなおこです。 

 

映画・ドラマ・洋書を通じて、英語を楽しく味わうヒントをお伝えしています♪

今回はNeflixのリミテッドシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」をご紹介します。目が印象的な女優アニヤ・テイラー=ジョイが天才チェスプレイヤーのベス・ハーモンを演じます。見始めたら止まりません!ぜんぶで7話と短いので "Just binge watch!" 一気に見て!と鼻息荒くオススメしちゃうドラマです。



【あらすじ】

舞台は1960年代のアメリカ、ソ連との冷戦時代です。シングルマザーのお母さんが車の事故で死んでしまった8才のベスは、孤児院に送られます。

頭脳明晰なベスは、授業でもすぐに問題を解いてしまい、先生に黒板消しをきれいにしてくるよう言われます。地下の用務員室に行って黒板消しをパンパンはたいていると、用務員さんのテーブルにチェス盤が置いてあることに気づきます。用務員のミスター・シャイベルと少しずつ言葉を交わすようになり、チェスを教えてもらいます。

ベスはどんどんチェスに魅せられていき、ミスター・シャイベルを負かすようになります。ベスのたぐいまれな才能を感じたミスター・シャイベルは、孤児院近くにある高校のチェスクラブの担当者に連絡をして、ベスをチェスクラブのメンバー相手に試合させます。

コの字型に並べたテーブルの中央にベス。テーブルの外側に10人ぐらいの男子生徒がチェス盤を前に立っています。ベスはその10人のチェス部員(ちなみにすべて男子)と一度に対戦するんですね。ベスがコの字の内側を順番に回っていくのですが、まあチェス部員たちの悔しそうな顔!チェスというのは男だけの世界だったんですね。


13歳になったベスは、子どものいない夫婦にひきとられますが、この夫婦は関係が破綻していて離婚。養母アルマは寂しさゆえにお酒が手放せず、抗うつ剤も飲み、病気がちです。


経済的に困っていたところ、ベスがチェスの大会で賞金を稼げることがわかり、アルマはマネージャーとしてベスと一緒にアメリカ中を飛び回ります。高校も適当なウソをついて休ませます。このときのアルマはとても楽しそうで、ベスとも深い絆が生まれます。


チェスのトーナメントは、シンシナティ、メキシコシティ、ラスベガスなど、各地のホテルで開催されるのですが、ホテルのインテリアがステキに再現されています。1960年代のミッドセンチュリー的なインテリアが大好きな私には非常に魅力的でした。ベスのファッションもハッとするほど美しいです。


話は孤児院に戻りますが、当時孤児院では子どもたちに精神安定剤として抗うつ剤を飲ませていました。その緑色のカプセルを飲むことで、当時チェス盤を持っていなかったベスは、天井にチェス盤を思い描きながら頭の中でチェスの練習をするのです。その抗うつ剤は養母であるアルマも飲んでいて、引き取られてからもこっそりアルマの分を飲んでいました。

薬物依存とアルコール依存に苦しみながらも、天才チェスプレイヤーとしてベスが活躍していく物語。


英語ワンポイントレッスン】

英語ワンポイントレッスンは、最終話からのセリフです。

孤児院でチェスを教えてくれた用務員のシャイベルさんが亡くなったという知らせをうけて、ベスは孤児院時代の親友ジョリーンと葬儀に参列します。


孤児院で行われた葬儀のあと、こっそり地下室におりていくベス。当時の思い出が一気によみがえります。暗い部屋の壁には、ベスがチェスの世界で活躍する新聞や雑誌の記事がところせましと貼ってありました。シャイベルさんとベスが2人でうつっている写真もあります。初めてのトーナメントに出たいのにお金がなかったとき「頼むから登録料を送ってください」と頼んだベスの手紙も壁に貼ってありました。

Queen's Gambit


シャイベルさんが自分のことをずっと見守ってくれていたことを知って泣き崩れるベスに、ジョリーンはこう言います。


Did you bite off more than you can chew?

ひとりで溜め込んでムリしてたのね。


bite more than you can chew

bite off more than you can chew :文字通りに訳せば「噛み切れないほどたくさん口にほおばってしまう」ですが、下記のような意味で使います。


  • 身の丈にあわないことをする

  • 無理をしてやる

  • 手に負えないことをする

  • 背伸びをしてやる



日本語字幕は「背負いすぎてたのね」となっています。私の解釈は「ひとりで溜め込んでムリしてたのね」「一気に思い出がよみがえっちゃったのね」でした。字数制限なしですから自由に訳してます!


孤児として育ち、ほぼ男性だけの世界だったチェス界で旋風を巻き起こしたベス。やれ天才少女だ、チェス界の新星だ、ともてはやされながらも、常にひんやりした孤独を胸に抱えていました。薬やお酒は、その孤独が凍ってガチガチにならないための自己防衛手段だったように私は思います。


このフレーズ自体は励ましやなぐさめの言葉ではありませんが、ベスの性格をわかっているからこそ言えるジョリーンの優しさにあふれています。


つらい思いや苦しい経験をしている人の気持ちを思いやって、こんな言葉をかけてあげられたらいいですよね。自分がかけてほしい言葉を、自分も他人に言えるようにしたい。いつもそう思っています。



【英語ワンポイントレッスン】


Did you bite off more than you can chew?

ひとりで溜め込んでムリしてたのね。



なぐさめの言葉、励ましの言葉は、心の引き出しにたくさんしまっておきましょう。きっと使うときが来ます。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

次回もどうぞお楽しみに!

 

Naoko Shiohama

 

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人生は楽しんだものがち!

英語も楽しく習慣にしましょう♪

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