サンディエゴからこんにちは!
元字幕翻訳家の英語コーチ しおはまなおこです。
映画・ドラマ・洋書を通じて、英語を楽しく味わうヒントをお伝えしています♪
今回は、私がサンディエゴ移住前に知っていたらラクだった、と思う、英語に向き合うときのマインドセットについて話します。
あなたにとって必要な英語は何ですか?
お子さんがいて英語圏への移住を控えているとしたら、子育ての英語が一番必要ですよね。学校の先生やママ友とのやりとり、習い事の申し込み、病院の予約など、いろいろな場面で英語が必要になります。
もちろん、ネイティブみたいにペラペラに話せたら理想的。でも「ペラペラ」を目標にするのはやめましょう。
日本語と同じレベルで英語を話そうと思っても、なかなかそうはいきません。まずは要点を伝えられたらOKとします。だんだん言えることは増えていきますから。
今回は、私の苦い経験を交えながら、ペラペラを目指すよりも「自分に必要な英語」にフォーカスする大切さを説明したいと思います。
渡米当初の私は、英語はペラペラじゃないと話せるとは言えないと思ってました。日本語と同じレベルで英語を話したい、こまかいニュアンスまでも伝えたいと思っていたのです。
渡米してしばらくは、ことあるごとに”Sorry for my poor English.”(英語が下手でごめんなさい)と必要以上にへりくだっていました。
でも相手はたいてい”Your English is good!”と言ってくれていたのです。その言葉に耳を貸す気にはなれませんでした。
こんな英語じゃダメだ!と頭の中のダメ出しくんが大暴れしてたんですね。自分で作った「こうあるべき」という鎖にしばられていました。
さらには妙なプライドがあることにも気づきました。映画と英語が好きで字幕翻訳までやっていたのだから、もっと話せるはず。
なのに現実には英語が出てこない。理想と現実のギャップを認めたくなかった。
実際に英語で生活してみてぶつかった大きな壁でした。
しかし悩んでいても子育てはまってくれません。はずかしい経験、なさけない経験は数え切れないくらいありますが、いくつか紹介しますね。
歯医者のため、長女を学校から早退させるために迎えに行った時のこと。学校の受付で「早退させるから迎えにきました」という英語が出てこなくて頭が真っ白になり、受付の前で無言で立ちすくんだことがありました。
学校だけでなく、病院やなにかの窓口で頭真っ白になることが多かったです。
また公園でこんなことがありました。
当時1歳だった次女が、滑り台の階段を上がった場所の下の砂場で遊んでいたときのことです。その階段を上がった場所の床は、鉄のメッシュ状になっていて穴があいていたんですね。滑り台の上にいた3歳ぐらいの子どもが、下でもくもくと遊んでいる次女にツバをペッとかけたのです。私はカッと頭に血が上りました。
その子どものおばあちゃんと思われる人がそばにいましたが、とにかく頭にきて英語が出てきません。何も言わず、次女をかっさらうようにして公園をあとにしました。
緊張していると頭がフリーズする。頭に血が上っていると英語が出てこない。そんな自分が情けなかったです。
こういうときに毅然と相手を注意する英語力がほしかった。
渡米して1年ほど経った、長女が1年生のときのことです。当時、赤い生地に白い水玉のワンピースを気に入ってよく着ていました。ちなみに日本語のワンピースは、英語ではdressといいます!
学校にちょっと早く着いた朝。クラスのお友達と校庭で走り回っていた長女が、急に私のそばにたったったと駆けてきて、ひどく不安そうな顔で聞きました。
長女:ママ、ポルカドット(polka dot)って何?
私は「水玉模様っていう意味だよ」と答えました。
その言葉に、長女はホッとしたような顔をして、また友達のところに戻りました。思うに、I like your polka dot dress.とか Polka dot dress looks good on you.とか言われたのでしょう。でも、polka dotの意味が分からなくて不安になった。
当時、友達と遊ぶときは、とにかく言いたいことを単語で並べていた長女。とにかく友達と一緒に遊びたかったんですね。間違えたら恥ずかしい、なんて言っていられない状況だったわけです。
子どもだったらすぐに英語ができるようになる、とよく言います。確かに大人に比べたら真綿のごとく吸収するでしょう。
でも、何の苦労もなく、という意味ではありません。子どもは子どもなりに傷つき、苦労しています。
ポルカドットってなに?という言葉にハッとしました。
サンディエゴには旅行に来たと思っていて「いつ日本に帰るの?」と聞いた長女。英語がわからない状態でキンダーに放り込まれたから「どうしてアメリカはみんな英語なの〜」と言って泣いたこともあります。
でも基本的には明るく、いつもにこにこしていた長女の心の不安がみえて、私は胸がぎゅうっと苦しくなりました。
はずかしい。くやしい。情けない。こういう気持ちはクルクルっと丸めて、「次こそは伝えてみせる!」という心のバネにしましょう。
「ペラペラ幻想」を捨ててからの私は、毎日のやりとりを1つ1つこなすことを小さな目標にしました。
学校の先生に娘の様子をたずねたり、同じクラスのママと立ち話をしたり。苦手な電話も、少しずつ慣れるように練習しました。電話は今でも苦手なので、かける前に必ず要件をメモに書いています。
また、ちょっとしたトラブルにも対処できるようになりたい、と思いました。トラブルは「こういう時に限って」という時によく起こります。
車で出かけようと思ったら、ガレージのドアが開かなかった。
運転していたらタイヤがパンクした。幸い、パンクのときは娘たちを乗せていなかったのでなんとかなりました。
車にキーを入れたまま鍵を閉めてしまった、などなど。こういう困ったときに何とか対処できる英語力が私には必要でした。娘たちに心細い思いをさせるわけにはいきませんからね。
ネイティブみたいに話せなくてもいい。とにかく伝えたいことをきちんと伝えて、娘二人の生活を楽しいものにしてあげたい。トラブルが起きた時にも対応できるようにしたい。それが私にとって必要な英語でした。
アクセントは私の個性。文法だって間違っているかもしれない。でも、身振りを使ったり、スマホで写真を見せたり、絵を描いて見せたりして、精一杯伝えようとすれば伝わるものです。
そのとき自分が持っているものを総動員して、伝えたいことを伝える。その積み重ねしかありません。
誰が決めたわけでもない「こうあるべき」という枠は、早めに取っ払いましょう。自分を枠にはめているのは、実は自分自身なんですよね。
英語を話す、ということは終わりのない旅のようなもの。だからそのプロセスを楽しむのが一番なんですよね。
人生は楽しんだものがちですし、英語も楽しくなければ続きません。だから私は自分がこよなく愛する映画・ドラマ・洋書でボキャブラリーを増やしています。
あなたも英語ペラペラ幻想を捨てて、自分に必要な英語を見極めて、楽しみながら学んでくださいね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回もどうぞお楽しみに!
Naoko Shiohama
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人生は楽しんだものがち!
英語も楽しく習慣にしましょう♪
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©2024 Naoko Shiohama